参議院議員
中川雅治氏
2015.12.22 13:45
◆業種
参議院議員
◆子供のころになりたかったものは?
医者
父、中川圭一は関東逓信病院に勤務した後、東大医学部助教授や東京共済病院院長を務めた内科医。
更に、二人の祖父も医者だった。
父方の祖父は開業医で若くして亡くなったが、母方の祖父、小島三郎は医師であり衛生学・細菌学者で、東大教授や国立予防衛生研究所所長などを務めた。
そんな家庭環境から、小中学生の頃は何となく「医者になるのかなぁ」と思っていた。
しかし、父は一度も医者になれと言ったことはない。
弟が二人いるが、父はそれぞれ皆好きな道に行けというような人で、とても穏やかで優しかった。
母は、江戸時代からの医者の家系で育ったので、私が医者になったらいいと思っていたようだが、父と同じでとても穏やかで優しく、勉強を強いられたこともなかった。
暗記が得意だった私は塾に行った事もない。
教科書を全て暗記することが出来たので、範囲がある試験は点数がとれた。
父の医者としての仕事とか、祖父の衛生学者としての文章や記録を見ていて、世の中のために貢献したいという気持が強く、医者にならないとしても、世の中のためになる仕事がしたい!国のためになる仕事がしたい!と思っていた。
高校生になった頃からだんだんと国家のために仕事がしたいと思うようになり、東大法学部に進学、卒業後は大蔵省に入省した。
◆毎日欠かさずしていることはありますか?
整理整頓
毎日たくさんの書類が来るが、必ずその日のうちに目を通して項目別にファイルする。
夜の会議や会合も結構あるが、会合が終わった後一人で事務所に戻り、読めなかった新聞を読んだり、書類に目を通したり明日の仕事に向けて準備する。
これは役人時代からの習慣でもある。
それから家に帰って食事をするので、夕食は夜の9時過ぎ、11時を超える事もある。
いくつ会合があっても会合で食事をすることはないので、あまりお腹が空いてしまった時は、役所時代から馴染みのある霞ヶ関近辺で一人夕食を取ってから、事務所に戻ることもある。
◆自分の支えになった、或いは変えた人物・本は?
祖父、小島三郎
常に公のことを考え行動した人。
明治の時代、赤痢などの伝染病が蔓延するので、早く公衆衛生の土台をつくらなければいけないと提唱し、そのための努力をした。
更にコレラ、インフルエンザ、サルモネラ症等の研究をして、早くから東京都の下水道を完備することを主張し、先駆的役割を果たした。
祖父は私が高校生の頃に亡くなったが、記念会があったり、書物も多く残っているので追悼文を読んだり、人から話を聞いたりして知った。
病気を数字や統計で判断するのを嫌い、わらじをはいて病気が蔓延している地域に赴き、実際に調査して歩き回ったので「わらじ疫学」と言われていた。
そういう祖父の血を受け継いでいるので、世のため人のために働こうと思った。
◆自分の人生を変えたきっかけになった言葉は?
「冷たい頭と熱い心を!」 Cool head & Warm heart
課題にぶち当たった時は、常に冷静な判断が必要であるが、その対応は常に温かい心をもってする。
役人時代から役所の職員に言って来た。
また、Warm heart とは将来世代への思いやりという意味も有る。
これまで国の財源、税収が足りない分は国債を発行してやりくりしてきたが、今、国債の残高だけでも800兆円あり、国の借金は合わせて1000兆円を超えている。
国債は毎年毎年繰り返し発行され、多い年では50兆円、来年度も34兆円の発行が見込まれている。
これは日本国民が税金で返済するしかない借金であり、将来世代のポケットに手を入れている状態と言える。
国債の発行は、「日本の国民は税金できちんと返すだろう」という償還確実性に基づいた、国債に対するマーケットの信任があるから成り立ってきたが、これに疑問符がついたとき、国債は買われなくなる。
そうなれば、国債は売られ、暴落し、長期金利が高騰、やがて国の財政は破たんする。
このような事態を避けるために努力している。
今が良ければいいというのではなく、将来世代の事をも考えなければいけない。
大蔵省にいる時から、何とかしたいと思っていた。
また環境省に行ったときも、地球温暖化対策、CO₂の排出を減らすための活動をしてきた。
エネルギー消費を減らすとか、CO₂の排出を減らす科学技術を開発するとかしなければならない。
財政問題も、環境問題も将来世代のことを思いやって政策を立案し、実行していかなければならない点で共通している。
今は政治家として、冷たい頭と熱い心をもって、持続可能な社会の実現を目指して活動している。
◆人生の転機はいつどんなことでしたか?
1、東大紛争
昭和40年に入学して44年に卒業した。
全共闘(大学内の連合体:全学共闘会議)が勢力をましていた時代。
東大紛争は、今ある秩序を破壊して、そこから新しいものが生れるという考えで行われた。
これは学生側が、大学側に突き付けた要求が通らなかったから始まったものだ。
全共闘が学生大会を開いてストライキの決議を取り、大学の各校舎を封鎖して中に立てこもった。
その上、校舎の壁や柱を破壊し、教授の部屋に乱入して本箱を倒しマイクロフィルムを踏んづける等、とにかく破壊行為を繰り返した。
私たちは仲間で団結して、大学の当局者と話し合い学生側の要求をある程度認めさせる成果を取り、各学部で学生大会を開きストライキ解除の決議をして回った。
それでも治まらない場合に機動隊が導入された。
日本国の在り方を徹夜で議論していた時代だ。
暴力ではなく話し合いで成果を得た大きな経験となった。
この時の仲間とは今でも深い絆で結ばれていて毎年会っている。
2、ハイジャック事件遭遇
昭和52年3月17日出張で乗り合わせた千歳発仙台行全日空724便でハイジャックに遭遇した。
他の乗客3人とともに犯人を取り押さえ、函館空港に緊急着陸した。
刃物をもった犯人を取り押さえるため、パッと条件反射のように飛び出ていた。
新聞でも大きく報じられ、警察庁長官、運輸大臣などから表彰を受けたが、どちらも勇気をもって行動を起こしたことで得た成功体験だ。
◆問題、障害或いは試練は?どうやって乗り越えたのですか?
大蔵省理財局在任中、郵便貯金や年金の財政投融資について批判を受けたとき。
当時の年金や郵便貯金は、理財局資金運用部で預かり、特殊法人である国民金融公庫や住宅金融公庫等に融資ししていた。
政府の歳入歳出予算とは別に政府がお金を預かり投融資活動をしていたのだ。
国民金融公庫や住宅金融公庫等は国民に融資し、国民は年金の掛け金を納め、郵便貯金をするといった循環が成り立っていた。
低金利で営利目的でない国民金融公庫や住宅金融公庫等への融資は民間では出来ない融資であったが、郵貯の残高が大きくなり財政投融資の規模が大きくなってきたこと、もっと市場原理で考えた方が良いのではないか等の意見から、財政投融資をやめろという一大旋風が起きた。
財政投融資廃止の強い動きがあったが、低金利で営利目的でない民間には出来ない投融資を政府はやるんだ!と言う強い信念で取り組んだ結果、財投債という国債を発行する形で、財政投融資制度は生まれ変わった。
http://www.mof.go.jp/filp/
世論から集中砲火されても「正しい事をやっている!国民のためにやるんだ!」という強い信念をもってやり通せば、必ずきちんと評価されるという経験をした。
◆夢は?
持続可能な社会を目指す!
今の世代も大事だが、将来世代に対する思いやりをもって政治をやっていくのが信念である。
中川まさはる公式サイト
http://www.nakagawa-masaharu.jp/
・昭和44年7月大蔵省入省。国際金融局総務課に配属
・昭和47年7月主計局法規課調査主任。在任中、本人の父中川圭一と妻の父原文兵衛が旧制府立四中(現戸山高校)の同級生であったことから見合いをし、昭和48年4月妻美穂と結婚。仲人は当時の主計局長 相沢英之氏(元国務大臣)、司葉子夫妻。
妻 の父原文兵衛(故人)は、警視総監の後、東京選挙区で参議院議員となり、環境庁長官、参議院議長を務めた。妻の母原光子は、北海道の町村農場を拓いた元参
議院議員町村敬貴(故人)の次女で、北海道知事や自治大臣などを務めた町村金五(故人)は叔父、元内閣官房長官の町村信孝元衆議院議員(故人)は従弟にあたる。
・昭和49年7月徳山税務署長。
・昭和50年7月国税庁人事課課長補佐。
・昭和52年3月17日出張で乗り合わせた千歳発仙台行全日空724便でハイジャックに遭遇し、他の乗客3人とともに犯人を取り押さえ、警察庁長官、運輸大臣などから表彰を受けた。
・昭和52年7月銀行局銀行課課長補佐。
・昭和54年7月主税局税制第一課課長補佐。
・昭和59年6月主税局総務課企画官。税制の企画・立案作業の総合調整や国会対策を担当。
・昭和60年6月東京国税局調査第一部長。
・平成2年7月主計局主計官。文部省、科学技術庁の予算を担当。
・平成3年6月理財局国債課長。
・平成4年7月理財局資金第一課長。
・平成6年7月福岡国税局長。
・平成7年5月国税庁調査査察部長。
・平成8年7月理財局次長。
・平成10年慶應義塾大学経済学部で「金融資産市場論」の講師を務めた。
・平成10年7月理財局長に就任。
・平成13年1月環境省総合環境政策局長に転任。
・平成14年1月環境省事務次官に就任。
・平成14年5月10日、天皇陛下に1時間にわたり皇居宮殿鳳凰の間で地球環境問題について御進講した。
・平成15年2月国連UNEP閣僚級会議に出席。
・平成15年7月退官。
・平成16年7月参議院議員選挙に立候補。「東京選挙区」でトップ当選を果たす。
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