NPO法人 全世界空手道連盟
代表理事
緑健児氏
2011/2/17 10:00
◆業種
新極真会代表
◆子供のころになりたかったものは?
一番強い男!
やっと生れた長男として、両親の期待と三人の姉に囲まれ可愛がられて育った。
そのため、ナヨッとした男になりたくなかったし、身長が低かったので、ケンカの強い男になりたかった。
更に、父は砕石生コン業を営み、荒くれ者を束ねる立場にあったためケンカも強かった。
ケンカをし、勝って帰る父の姿に「強い男」として憧れをもった。
極真空手との出会いは、小学校5、6年生の頃、「空手バカ一代」というテレビアニメだ。
極真空手の創始者「大山倍達」総裁を題材にしたもので、物凄く憧れた。
中学になると、地元、鹿児島県大島郡には極真空手の道場は無かったため、通信教育で技を学んだ。
友達同士で、相談しながら練習したものだ。
中学を卒業すると、「極真空手を本格的に習いたい。」という思いを両親が受け入れてくれ、東京の高校に進学した。
東京にいた姉のところに住み込み、蒲田にある極真空手道場「廣重師範」の門を叩いたのだ。
今度、自分を題材にしたマンガが発売されることになった。
私が空手バカ一代を見て、世界チャンピオンを目指したように、極真空手を次世代に繋げるきっかけになれば良いと思う。
◆毎日欠かさずしていることはありますか?
体を動かす事
空手の構え、腕立て、腹筋などをしている。
◆自分の支えになった、或いは変えた人物・本は?
父、そして「大山倍達」総裁
高校を卒業して専門学校に通いながら、道場に通っていたが、その頃から、遊びの楽しさも覚えた。
専門学校を中退し、アルバイトをしながらちょっとだけ遊んでいた時代である。
しかし、20歳頃から本格的に極真空手に目覚めた。
元々の願望が「強い男」だったからだろう。
ところが思うように勝てない。
階級別ならチャンピオンになれたのだが、無差別級だと決勝で負ける。
ここぞ!という時、弱い心が顔を出すのだ。
この「クセ」のようなものは、子供の頃からずっと続いている。
マラソンが早かったが、苦しくなったり、接戦になると必ずどこかで諦めてしまう。
そんな自分から抜け出したかった。
そう思いながらも、第4回世界大会で負けた。
もう26歳だし、長男だし、結婚して両親を安心させたい。
父を手伝い、家業である砕石業の会社を継ぐため実家に帰った。
それでも空手は続けていたので、ある日、大山総裁からインド遠征に誘われた。
しかし、時を同じくして、会社で事故が起こり、強い父が落ち込んでいた。
そんな父を置いて行くことはできない。
「今は、自分が支えになりたい」ということを大山総裁宛の手紙にしたためた。
すると、インド遠征が終わって日本へ帰った総裁が、我が地元まで来て下った。
「君は世界で優勝できる器だ!」と言って下さり、父にも「息子さんを空手に集中させてやって下さい。」と頼んで下さった。
弟子の両親にお願いすることは、最初で最後だと言うではないか!
物凄い栄光だ。
会社も父の状態も良くなっていたので、第5回世界チャンピオンを目指すことに決めた。
地元は大山総裁が来た!と言うだけで大騒ぎになっている。
私がチャンピオンを目指すことを知った人は、皆が「がんばれよ!」と声をかけてくれた。
喜びと共に物凄いプレッシャーだ。
夜も眠れない日がたくさんあった。
しかし、小さい自分が、世界の無差別級でチャンピオンになれば、多くの人が夢と希望を持つだろう。
その時、「死力達成」という言葉を大山総裁から頂いた。
死ぬ気で頑張れば夢は叶う!
そう思って、毎日自分を追い込んで練習し続けた。
このプレッシャーを乗り越えるには、自分なりに「いけるぞ!」と思えるまで、人の2倍も3倍も練習するしかない。
徹底的に自分と戦いながら練習して、試合に臨んだ。
準々決勝の試合中、いつもの弱い自分が顔を出した。
天使が「ここで頑張れば乗り越えられる!」と囁き、悪魔が「もういいじゃないか!」と囁く。
物凄い葛藤が心の中に起きた。
ほんの15秒程度の心の揺れ!
今回はついに乗り切った。
天使の心が勝ったのだ。
心が勝ったとたん、体が動く。
何かを掴んだ!ようだった。
死ぬほどの練習と、大山総裁の期待があったからこその結果だ。
それからは、準決勝、決勝と楽しく戦うことができた。
もちろん楽な試合はない、当然、先に進めば進むほど相手は強くなる。
決勝は、1年前に負けた相手だったが、勝つことが出来た。
「ギリギリ限界の苦しいところを乗り越える」ことは自分のテーマでもあった。
ここを乗り越えて、世界チャンピオンになった経験は自分の宝となっている。
そのチャンスを下さった大山総裁に、言葉には表すことが出来ない程、尊敬と共に感謝している。
◆自分の人生を変えたきっかけになった言葉は?
「死力達成」
この言葉を、胸に刻み試合に挑んだ。
その時の経験を、今に活かしている。
◆人生の転機はいつどんなことでしたか?
世界チャンピオンになったこと!
準々決勝で「悪魔のささやき」に勝ったことを含め、物凄い自信になった。
◆問題、障害或いは試練は?どうやって乗り越えたのですか?
試合に負けるたびに挫折はある。
その時、いかに対処するかで、クヨクヨ悩まない。
とにかく前向きに、ポジィティブにチャレンジする。
試合に負けた時は、今まで以上に自分を追い込み、プレッシャーをかける。
常に自分との戦いだ。
全力を尽くして練習する。
練習が終わった時、一日一瞬を振り返り、「あの時、手を抜いていなかったかな」「途中で、あきらめなかったか」等と、自分を見つめ直す。
楽な練習など、手抜きをすれば自分でわかる。
やりきった時は、「今日も逃げずにやれた!」と至福の思いに浸る。
相手と戦う前に、自分と戦っているのだ。
試合中も、「ここであきらめたら体に申し訳ない。血尿が出るほど体を酷使して練習してきたのだ。」という思いが自分を後押しする。
自分自身との戦いに勝った人間にだけに、栄光が待っている。
まさに、勝利の女神が微笑む瞬間だ。
又、寝る時に、大山倍達総裁と握手をしている場面をイメージしながら寝ていた。
現実にチャンピオンになると、大山倍達総裁と握手が出来る。
それが実現した時は、まるでデジャブのようだった。
試合に出場するからにはチャンピオンを目指す!
第4回世界大会の時、ベスト8にでも入れれば良いと思って試合に挑んだ。
そうしたら、ベスト16になってしまった経験がある。
「出場することに意義がるんじゃない。」事を学んだ。
◆夢は?
1、新極真空手の加盟国を100ヵ国にする!
世界最強、最大の組織にしたい。
2、空手をオリンピック種目にしたい!
スポーツ選手にとって、オリンピックは大きな目標であり、励みだ。
又、オリンピック種目になれば、より多くの人々の目にふれることができる。
オリンピックは、世界人口68億人の殆どが注目する。
オリンピック種目になれば世界からから注目される。
そうなれば、日本が元気になる。
更に、世界の空手人口は、サッカーの次に多いと言われている。
日本に2万人、世界に6万人いるのだ。
空手を習っている、世界中の「子供たちの夢」のためにも実現したい。
又、ヨーロッパの人々は、新極真空手の仲間を「ワンビックファミリー」と呼ぶ。
家族だと思っているのだ。
空手を通して日本の文化に触れると、世界の人達の多くは謙虚になり、相手を敬い、礼儀礼節を重んじるようになる。
そして、武道を通し、試合や合宿で戦った仲間は戦友になる。
言葉、宗教、政治、人種が違っても、空手を通して信用で繋がっているのだ。
深い絆で結ばれているから、細かい契約書などいらない。
自己申告で、会員数を申請し、会費を払う。
世界中の人々が自主的にするのだ。
更に、WKO(ワールドカラテオガニゼーション、世界空手組織のこと)の役員は、全て4年に1回の選挙で選ばれる。
代表である私もそうだ。
選挙などをするので民主主義は時間がかかるが、皆の意見が反映され慎重に進むところが良い。
3、自分の弟子の中から世界チャンピオンを輩出したい!
新極真会
http://shinkyokushinkai.co.jp/
※緑健児を題材にしたマンガ 2011年2月25日発売!
「緑健児 物語」 多田拓郎著 講談社
※10月22・23日に第10回全世界空手道選手権大会を東京体育館で開催。
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