おおたけ眼科
院長
工藤 麻里 氏
2011/6/15(水)10:00
◆業種
眼科開業医
◆子供のころになりたかったものは?
眼科医
両親共に歯科の開業医であり、いつも両親の働く姿を傍で見て育った。
そのためか、幼い頃から自然と将来は「医療関係に進むんだろうなぁ」と思っていた。
一人っ子のおばあちゃん子で、祖母と一緒にいることが多く、その祖母が小学校2年生の頃に失明した。
祖母と一緒に眼科へ通院する生活が続いた。
その事が、眼科医を目指すようになった原点になってるのではないかと思う。
◆毎日欠かさずしていることはありますか?
娘との会話
仕事をもっているので、8歳の娘との会話を大切にしている。
娘も小学校3年生になったので、善悪の判断などについて、これは悪、これは善と教えないようにしている。
本人に、「なんで悪いと思う?」などと、本人がなぜそう思うのかを聞き、一緒に考えるようにしている。
考える力を育てたいからだ。
また、自然食品を使い食事にも気をつけている。
◆自分の支えになった、或いは変えた人物・本は?
義父:
母は、私が5歳の時に今の父と再婚した。
子供の頃から、義父だと分かっていたが、彼こそが本当の父であると思っている。
無口だがいつも大切なことを教えてくれる。
その父の教えは、「利益は後からついてくる」だ。
医療というものは、利益を考えてすると失敗する。
「患者さんのため」と思って一生懸命に取り組めば、「利益は後から付いて来る!」と教えてくれた。
母:
医療に携わるものとしての姿勢を、後姿で見せてくれた。
「常に働いている」という印象が強いが、いつも大事な時には一緒にいてくれた母。
その背中が、私に仕事への姿勢とやり甲斐を教えてくれた。
入局したての教授:
とても豪快な方であった。
その先生が最初におっしゃったことを、今でも心に留めている。
それは、「眼科医とは言え、目ばかり診るのではなく、その患者さんを観るのだ。」と教えられたことだ。
問診などで、患者さんの人となりも解った上で、総合的に判断する。
忙しいと目ばかりを診てしまいそうになるが、常に気をつけていることだ。
◆自分の人生を変えたきっかけになった言葉は?
「一期一会」
人との出会いで、人生が変わって行く。
私は、「師にも、人との出会いにも恵まれた。」と感謝している。
一期一会を大切にしたい。
◆人生の転機はいつどんなことでしたか?
開業したとき
人との出会いが、チャンスをもたらした。
娘が5、6歳の頃、子育てのため大学の勤務医を1年間休業して、週に1、2回、開業眼科でパート勤務医をしていた時がある。
その頃から、娘との時間を充実させるためにも「開業するなら、自宅近くの自由が丘で開業したい」と心ひそかに思っていた。
丁度その時、知り合いの方から、たまたま「自由が丘で開業しませんか?」ともちかけられた。
しかし、地元に基盤がない。
両親は、歯科医であるし、自由が丘に患者さんを持っていた訳ではないので、ゼロからのスタートになる。
不安はあったが、あまりにもタイミングが良かったので「これは受ける運命なんだな!」と思い
その日から1年足らずで開業した。
◆問題、障害或いは試練は?どうやって乗り越えたのですか?
一番大変だったのは、子育てと仕事の両立。
研修医だった時に結婚し、子供を産んだ。
その時の夫も、大学の勤務医であったため、プライベートが無い程お互いが忙しい。
大学の勤務医は、朝7:30から夜11:00、12:00にまで及び、男女平等に当直もある。
その上、論文の執筆や学会の出席などもプラスされる、ストレスとプレッシャーの多い職業だ。
そんな中、保育園の送り迎えをどっちが行く?等という喧嘩やすれ違いが耐えなくなり、娘が3歳の頃に離婚して一人で子育てをすることを選んだ。
選んだのは自分だが、泣きたくなることもあった。
勤務の帰り、土砂降りの雨の中マーケットで夕食の買い物をして保育園で娘を迎えに行った。
抱っこして帰ろうとした途端、マーケットの袋が破けて中身が全てゴロゴロとこぼれ出してしまった。
傘と重い買い物袋を持ち、娘を抱っこした状態…仕事の疲れもピークだった。
私は、こぼれ出たリンゴやジャガイモと一緒に泣き出してしまった。
ところが、娘はコロコロと転がる物を見て、ケラケラと笑い出した。
そのとたん、私も何だか一緒に笑い出してしまった。
泣き笑いだったが、こんな状態でも「笑えるんだなぁ~」とつくづく思った。
娘の笑顔で何度助けられたことか。
「娘を守らなければ!」と強い思いがあるから、辛い事も乗り越えられる。
また、中学・高校とカトリック系の学校で過ごしたため、辛いことは試練であり、自分の成長過程だと教わった。
カトリック教育による奉仕観や道徳観が、自分を支えているのかも知れない。
今日は今日、明日は明日が創る!
過去を悔いるより、今が将来を創る!という気持ちで毎日を過ごしている。
また、軽いストレスなどは、お酒を飲むとか、眠ることでその日のうちに解消するようにしている。
◆夢は?
「地域に根付くといいなぁ」と思う。
この地で育ち、縁あって開業できたので往診などもしているし、もっと地域医療に貢献したい。
患者さんの中には、土曜、日曜でないと来られない方が結構いらっしゃる。
そのために、土曜、日曜ともに開業しているが、娘の休みは土、日だ。
娘との時間はどうしようかと思ったが、月に数回友人の眼科医が手伝いに来てくれている。
娘の方も、一生懸命取り組んでいるスポーツがあるため、お互いに一緒にいられる時間はとても充実している。
プライベートも充実させながら、医師として、母として、一人の女性として何役もこなすのは難しい事ではない。
なぜなら全て、自分が選んできた道だからだ。
おおたけ眼科
http://www.otake-ganka.com/
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